の中に奴は居る

- 暫定的進化仮説(2)-

前回 、遺伝子の突然変異による小規模な変化をすることで生物種が
変化していくという、「総合説」について説明した。

んがしかし、総合説だけでは説明できないような大規模な変化が
存在するのだがどうしたものだろうと。

真核生物原核生物というのはご存知だろうか。

真核生物とは、細胞の中に遺伝情報をもつという細胞内小器官を
もつ生物のことである。人間からゾウリムシまでみんな真核生物だ。
一方、原核生物とは遺伝情報を核に収納せず、そのまま細胞内に
持たせている生物である。

これだけおおきな変化を遺伝子の変化だけで語るのは難しくないか?
かくも細胞の構造自体が違うわけで。

植物の細胞と動物の細胞もそうだ。
葉緑体っていったいどうやってできたんだ?
ここまでの違いは遺伝子によるものだけで説明はつくのか?
つかなさげだ、としたらこの現象をどうやって説明したらいいのか。

こういうときに大事なのは基本に返ることだ。

生命が自らを維持するのに必要なものは何か?
エネルギーであり、そのエネルギーを得るための有機物である。

太古の地球には有り余る有機物があったと考えられている。
雷やら宇宙線やらによる膨大なエネルギーが化学反応を引き起こし、
その結果さまざまな有機無機の化合物が出現する。

最初の生命はよかった。エネルギーとなる食物はその辺に
転がっていたのだから。
しかしやがて十分なエネルギーを得ることができなくなる。
膨大な量だった有機化合物を食い尽くしてしまったのだ。
そりゃ仕方ない。だって10億年だぜ、10億年。

先のこと考えろ、とはよくいうけど、10億年先なんぞわかる
わけがない。こうして生存競争が始まったのだ。
食うか食われるかのサバイバルはこうして始まった。

しかしその生存競争の中で、しばしば奇妙なことが起こり始める。
食ったはいいけど消化器官に異常があったのか、原因はわからない
が、とにかく食ったえさをそのまんま生かしてしまうという
奇妙な現象が始まったのだ。

普通だったら汚物は消毒だぁ!じゃなかった捨てるところなのだが、
捨てるわけでもない。
そのうちにもっと奇妙なことに、その体の中で生き続けたり
増殖したりするようなものも出現した。

その代わりに、共存した生命はさまざまな利益を母体に与える
こととなる。いわゆる共生関係になったわけだ。
たとえば藍藻のようなものと共生した場合、太陽光から有機物を
生成するなどで生命維持のエネルギーを得ることができる。
こうして葉緑体が誕生したのだ。

ある種のバクテリアと共存することに成功した生命は、それまでの
生命にとって毒であった酸素に耐性を持つばかりか、逆に酸素を
利用して膨大なエネルギーを得ることが可能になった。
地球上に酸素が増え始めたのち、彼らは地球上の覇者となった。
共存したバクテリアはやがてミトコンドリアとなった。

細胞の遺伝情報をつかさどる核すら、共存したバクテリアなのかも
しれないという説もある。
核の構造に比較的近いバクテリアも存在するのだ。

この共存、役割分担などもあるようである。
たとえばミトコンドリアの遺伝子は核にだんだん移動している。

そしてこうした細胞内共存は、比較的現在になっても繰り返し
行われている。

つい最近もこういった発見があったばかりだ。

"半草半獣"の新種微生物、その名は「ハテナ」
光合成をする植物と、植物などを食べて生きる捕食生物の両方の
姿を持つ“半草半獣”の新種の微生物を、筑波大の研究チームが
発見しけた。14日付の米科学誌サイエンスで報告する。

和名で「ハテナ」と名づけた新種は、特定の藻類を食べると、
それを消化せずに体内に取り込み、藻類が持っている葉緑体を
使って「植物」として光合成をしながら生き延びる不思議な
一生を送る。

(Yahoo!ニュース - 読売新聞 - “半草半獣”の新種微生物、その名は「ハテナ」
 …元記事は消えてました。)

その一方、あるときを境に単細胞の微生物だった生命は、群体を
形成し、やがて複数の細胞からなる大型生命体へと変化していった。
一説には地球寒冷化が原因ではないかとも言われている。
寒いから寄り集まって生き延びようとしたのだろう。

われわれも実は、さまざまな微生物が自分の得手不得手で分業して
いる群体にすぎないのかもしれない。
ただ分業進みすぎていまさら別れられない。ていうか別れたら死ぬ。

…思ったより伸びちゃったので次回遺伝学的な話を。
それではまた。


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